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砂吐きそうな7のお題

3.後ろから抱きしめる背中(沖田×千鶴ED後)

 自分のものより小柄なその背中を、抱きしめずにはいられない。
ずっと傍にいたくて、傍にいてほしくて、腕を伸ばし繕い物をしていた千鶴を背後から抱き寄せる。
「…総司さん」
 いくらか呆れを含んだ声の千鶴の身体を優しく包み込む。
「好きなんだ」
 肩口に顔を埋めて掻き口説く。
自分のしてきたことを今更悔やむことはないし、皮肉にも変若水を飲んだお陰で今こうして千鶴を抱きしめていられる。
ただこんなにも好きなのに、自分の残された時間などなんと短いことか。
「僕は、千鶴が好きなんだ、よ…」
 最後の方は声が震えて、抱き寄せる腕に力が入る。
何故こんな感情を知ってしまったのだろう。
この感情を知らなければ、こんなにも苦しい思いをしなくて済んだのに。
それでもこんなにも穏やかで幸せな時間を知ってしまった自分は、この小さな手を離さないだろう。

 否、離せない。

「千鶴……」
 低く掠れた声で名を呼ぶと、自分の身体に預けられる重み。
抱きしめた腕にそっと添えられる少しだけ日に焼けた小さい手。
「私だって…」
 俯きながら千鶴が発した言葉は、とても小さな声で。
でもしっかりと力が込められたその小さな手が聞き間違いでないことを教えてくれた。
「私だって大好き、です」
「……千鶴、耳真っ赤」
「自分でも分かってます!」
 顔を真っ赤にして俯く千鶴のその手をゆるく捕らえ、総司は楽しげに笑った。






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2010.05.03 UP




1.下から見上げる膝枕
2.耳元で囁く秘密
4.指に髪を絡めて
5.肩越しの微笑み
6.顔をよせて
7.唇が触れる瞬間


お題 配布元:『気軽に7のお題






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